【凱旋門賞】“ダイヤの敵”C・デムーロ「今年は混戦」
ブラムト自身が春の状態に戻ればチャンスはある
今年の凱旋門賞(10月1日、仏シャンティイ、GI、芝2400メートル)は、英国の3歳牝馬エネイブルが最有力候補。地元勢では今年の2冠馬ブラムト(仏=J・ルジェ、牡3)に大きな期待がかかる。主戦で、日本でもおなじみのクリスチャン・デムーロ騎手(25)=イタリア、フランス拠点=を直撃し、パートナーの特徴や、レースに向けての意気込みを聞いた。 (取材構成・沢田康文)
--凱旋門賞にブラムトで参戦する
「日曜日が楽しみです。ブラムトは地元の2冠牡馬で追い込み馬なのですが、末脚は素晴らしいものを持っています」
--この馬の長所は
「ラストの脚がとにかく強烈で、2冠目のジョッキークラブ賞(仏ダービー)は特に素晴らしかった。似た脚質だったラクレソニエール(昨年に無敗で仏牝馬クラシック2冠制覇も凱旋門賞直前に回避)と比較すると、ゲートで遅れたり乗り難しかったりするところはありますが、トップスピードはブラムトの方が上ではないかなと感じます」
--前走のギヨームドルナノ賞はまさかの5着
「春にGIで激走した疲れがあったのでしょうか。大きく出遅れてしまって、道中も追走に前向きではありませんでした。ジョッキークラブ賞のときとは本当に違う馬のようで、あれがブラムトの実力では決してありません」
--中間の状態は
「愛チャンピオンSの遠征は取りやめて、ドーヴィル競馬場で調整しています。19日の1週前追い切りは芝1800メートルの併せ馬で騎乗し、けさ(25日)の最終追い切り(ドーヴィル競馬場の芝コースで3頭併せ、約3馬身先着)にも騎乗しました。重馬場で良い負荷がかけられて雰囲気は良いですし、順調に来ています」
--雨が多く、重馬場が予想される。2400メートルも初距離だが
「道悪については1冠目のプールデッセデプーラン(仏2000ギニー)を勝ったときに克服していますから、問題ないと思います。初距離も心配していません。追い込み馬なので後方からじっくりとレースを運べますし、ジョッキークラブ賞のときもゴールした後なかなか止まらずスタミナが余っていました」
--ライバルは
「英国のエネイブルは確かに強いけれど、僕の中では今年の凱旋門賞は混戦だと思っています。間隔をあけたことでブラムト自身が春の状態に戻ればチャンスはあると思う。去年はワンフットインヘヴンで6着でしたが、同じように後方からの競馬で1着を狙いたいです」
1992年7月8日生まれ、25歳。イタリア・ローマ出身。ミルコ・デムーロ騎手の実弟で、2009年に騎手デビュー。14年から騎乗拠点をフランスに移し、現在は有力個人馬主のジェラール・オーギュスタンノルマン氏と騎乗契約を結ぶ。今年は25日現在、仏リーディング5位。昨年はラクレソニエールで仏牝馬クラシック2冠、今年はブラムトで仏牡馬クラシック2冠を制した。JRAでは13年桜花賞(アユサン)など766戦99勝。