【産経賞オールカマー】レース展望
1着馬には本番への優先出走権が与えられる
中山3週目の日曜メインは、天皇賞・秋の前哨戦として定着している産経賞オールカマー(24日、GII、芝2200メートル)。1着馬には本番への優先出走権が与えられる。
過去10年の優勝馬を振り返ると、2007年から3連覇したマツリダゴッホは有馬記念を含め重賞6勝の舞台がすべて中山だった。11年のアーネストリーは宝塚記念(阪神)を制覇した直後で、12年のナカヤマナイトは翌13年の中山記念もV。16年のゴールドアクターは前年の有馬記念でGIウイナーの仲間入りを果たしていた。東京の天皇賞向きの切れがあるタイプより、中山向きの持続力のあるタイプが勝ち馬に名を連ねている。
今年のメンバーでは、アメリカジョッキーズクラブC(AJCC)を勝ったタンタアレグリア(美浦・国枝栄厩舎、牡5歳)があてはまる。東京での一昨年の青葉賞(2着)とダービー(7着)は、いずれも上位馬とは切れ味の違いが出た印象だった。続くセントライト記念は今回と同じ舞台で6着だったが、勝ったキタサンブラックとは0秒2差。レースの内容としては中山の方がパフォーマンスが上がる。
前走のAJCCは中団から馬群の内をさばき、早め進出でV。同様の競馬ができれば今回もチャンスは十分だ。しかし、深管骨瘤を発症したため天皇賞・春、宝塚記念を自重し、約8カ月の休み明けとなるのは気になるところ。帰厩後は併せ馬で入念に調教を消化しているが、最終追い切りに注目したい。
札幌日経オープンを連覇したモンドインテロ(美浦・手塚貴久厩舎、牡5歳)も、切れ味よりスピードの持続力で勝負する馬。中山の芝はステイヤーズS3着があるだけだが、勝ったアルバートに一歩先にスパートされたぶんの負け。上がり3ハロンはどちらも35秒0でメンバー最速の脚を使っているので、力量は互角だろう。むしろ、3000メートル以上が得意なアルバートよりも、2200メートルでは分がある。
そのアルバート(美浦・堀宣行厩舎、牡6歳)はステイヤーズS連覇やダイヤモンドS勝ちなど、長距離戦に実績がある。ただ、2400メートル未満の距離を使うのは、15年8月の札幌500万下・芝2000メートル戦(1着)以来。実に2年1カ月ぶりの中距離戦だけに、スピードへの対応が鍵になる。
天皇賞・秋で2、3着、大阪杯2着とGIでも上位争いする力があるステファノス(栗東・藤原英昭厩舎、牡6歳)は、後方から末脚を伸ばすタイプで、中山の適性がどうかだが、皐月賞5着、中山記念3着と、一応の結果は出している。ただ、早めに動かざるを得ないコースなのは確か。取りこぼしの危険性がつきまとう。
五稜郭特別を勝ってオープン入りしたブラックバゴ(美浦・斎藤誠厩舎、牡5歳)は、もともとホープフルS3着、京成杯2着の実力馬。長いスランプをようやく脱した印象で、得意の中山なら重賞Vのチャンスも。
ジャパンC、宝塚記念とGIで2度の2着があるデニムアンドルビー(栗東・角居勝彦厩舎、牝7歳)、毎日王冠、エプソムC、きさらぎ賞と牡馬相手に重賞3勝のルージュバック(美浦・大竹正博厩舎、牝5歳)の牝馬2頭は、牡馬相手にもひけを取らない力があるが、近走の内容がひと息。どこまで復調しているかがポイントになる。