【小倉２歳Ｓ】菜七子、史上初女性騎手のＪＲＡ平地重賞制覇へ
「チャンスある」
◆第３７回小倉２歳Ｓ・Ｇ３（９月３日・芝１２００メートル、小倉競馬場）
先週日曜に通算１５勝目を挙げて、ＪＲＡ女性騎手の通算勝利数３位に浮上した藤田菜七子騎手（２０）＝美浦・根本厩舎＝が、フローラルシトラスに騎乗する第３７回小倉２歳Ｓ・Ｇ３（９月３日、小倉）で、４度目の重賞挑戦。８月は４勝、地方の盛岡でも２勝した勢いそのままに、史上初となる女性騎手のＪＲＡ平地重賞制覇を目指す。デビュー２年目の変化や意気込みなどを聞いた。
今月４勝と好調の菜七子が、勢いに乗って小倉に乗り込む。フローラルシトラスで、自身４度目の重賞挑戦。デビューから手綱を執る馬で臨むのは初めてのことだ。
「自分で勝った馬で引き続き重賞でも乗せていただけるのは、本当にありがたいです。チャンスはあると思います」
デビュー戦こそ４着に敗れたが、続く２戦目で３馬身差をつけての初勝利。直線競馬で抜群のスピードを生かした。
「センスがありますね。スピードがあり、スタートもいい。気が強くて負けず嫌いな性格が、いい方に出ているのではないでしょうか」
この夏の好調はフローラルシトラスから始まった。８月５日に同馬で自身２か月ぶりの白星を飾ると、コパノディール（同６日新潟１２Ｒ）、コパノビジン（２０日新潟７Ｒ）に続き、先週日曜（２７日新潟１２Ｒ）もラブターボで勝利を収めた。
「福島ではなかなか勝つことができませんでしたが、新潟に替わって、徐々に流れが上向いてきた感じはします。以前はなかなか勝てない時、人気馬に乗ると緊張していましたが、最近はポンポンと勝つことができたので、そこまで緊張しなくなりました」
２年目の今年は９勝を挙げ、昨年の６勝を上回る。年明けからトレーナーをつけ、週に１度指導を受けていることも、好調の要因の一つ。地道な努力の積み重ねが、結果に結びついてきた。
「左右のバランスを整えたり、体幹を鍛えるようなトレーニングが多いですね。全部で２時間半くらい。自主トレーニングもしています。フォームの変化ですか？ 自分ではあまり実感はないのですが、周りの方に『力強くなった』と言われることが少しずつ増えてきて。まだまだ足りないのは分かっているのですが、足りないなかでも少しずつは良くなってきたのかな」
勝てば、女性騎手によるＪＲＡ平地重賞勝利は史上初の快挙。レパードＳで重賞初Ｖを果たした同期の木幡巧に続けるか。
「巧也君も本当に努力しているし、競馬が上手。それ以外にも同期、後輩たちも頑張っています。自分も負けないように頑張りたいです」（石野 静香）
【前走好騎乗！武井師は経験値に期待】
フローラルシトラスの武井調教師は、デビューから手綱を執る藤田の経験値に期待を寄せる。前走は、３番枠からハナを奪って外ラチ沿いに位置を取り、直線競馬での理想的なレース運びで初白星を飾った。「僕の言った通りに乗ってくれたので、オーナーにも了解をいただきました。（実戦の感触を）知っていて、一生懸命乗ってくれると思う」と重賞でも起用した理由を説明した。
２３日の１週前追い切りは藤田を背に、美浦・Ｗコースでリエノテソーロ（３歳オープン）に３馬身先行し、４ハロン５１秒９―１２秒５で馬なりのまま半馬身先着。武井師は「動きはすごくよかった」と順調な調整ぶりに満足そうだった。
【障害重賞は外国人女性騎手が優勝】
女性騎手によるＪＲＡ平地重賞制覇は過去にないが、障害重賞では外国人女性騎手が勝った例がある。ニュージーランドから来日したロシェル・ロケット騎手が、０２年１２月２１日の中山大障害・ＪＧ１で、ギルデッドエージに騎乗し、２着馬に１秒９をつける大差勝ちを果たした。
【大井→園田転戦！週末へ弾みつける】
昨年、地方で８勝、今年は８月の盛岡で２勝など４勝し、通算１２勝を挙げる藤田は、きょう２９日に大井でイノデザイヤ（１０Ｒ）など３鞍に騎乗。あす３０日は園田でファイトエルフ（９Ｒ）など６鞍に騎乗する。園田は昨年７月以来、２回目の参戦だが、当時は２着になった７Ｒのゴール入線後に落馬。大事を取って残り２鞍は乗り替わりとなった。リベンジの園田で初白星を挙げ、週末につなげられるか注目だ。
◆藤田 菜七子（ふじた・ななこ）１９９７年８月９日、茨城県生まれ。２０歳。美浦・根本康広厩舎所属。１６年３月３日に地方・川崎競馬でデビュー。同２４日の浦和３Ｒ（アスキーコード）で初勝利を挙げた。４月１０日、福島９ＲのサニーデイズでＪＲＡ初勝利。ＪＲＡ通算１５勝。地方通算１２勝。１６年１１月にＵＡＥ・アブダビで海外デビューし、その後はマカオ、スウェーデンでも騎乗。家族は両親と弟。身長１５７・４センチ、体重４５・６キロ。血液型Ａ。
