白毛ユキチャンの子、ハウナニは見た目も凄いが資質も
「今までで一番」
競走馬の魅力はさまざまだ。その「強さ」に惹かれることもあれば、個性的な性格に魅了されるケースもあるだろう。
もちろん、目に留まった馬のビジュアルが気に入ってファンになる人もいる。その理由が、珍しい毛色に目を奪われて……ということもあるだろう。
まもなくデビューを迎える2歳馬にも、そうした見た目によってファンを増やしそうな存在がいる。
手塚貴久厩舎(美浦トレセン/茨城県)に所属する、ハウナニ(牝2歳/父ロードカナロア)である。
同馬は、サラブレッドの中で極めて珍しい”白毛”の持ち主。まるで、漫画の中に出てきそうな”白馬”である。
ただ彼女の血筋を見れば、白毛となるのは必然とも言える。母のユキチャン、祖母のシラユキヒメも同様に白毛であり、兄姉や近親にも白毛馬が多数いるのだ。
そのファミリーの中でも、母ユキチャンは地方の交流重賞を3勝した偉大な活躍馬。そんな母から生まれたハウナニには、ビジュアルだけでなく、秘めた能力にも期待が集まっている。
「馬体のバランスはすごくよくて、今までのユキチャンの産駒の中では『一番ではないか』という声も上がっています。前脚をかき込むような、すごくダイナミックな走りをします。やはり、舞台はダートのほうが合いそうですね」
今春の時点でこう話していたのは、デビュー前の育成を担当したノーザンファーム空港牧場の島田崇氏。このコメントから、ハウナニの魅力は決して見た目だけではない、ということが伝わってくるのではないだろうか。
母ユキチャンからは、これまでに2頭の産駒がデビュー。いずれも、これといった活躍は見せられなかったが、『今までで一番』というハウナニには、より一層の期待が膨らむ。
同馬の気性面については、前出の島田氏がこう語る。
「性格はすごく気が強くて、そこにこの血統の”らしさ”を感じますね。その分、気性はすごく前向きなのですが、姉のシロインジャーなどに比べると、我慢も利きます。この馬も、母と同じく地方の交流重賞などで活躍できるといいですね」
母が輝いた舞台で、その子どもが再び躍動する――そんな夢が抱けるほど、ハウナニからはその素質の高さが感じられるのだろう。
“白毛ファミリー”から現れた2歳の新鋭。デビュー戦は、9月3日の2歳新馬(新潟・ダート1200m)の予定だ。
母と同じように、砂の舞台で旋風を起こせるのか。まもなく訪れる初陣が楽しみでならない。