【北九州記念】ダイアナヘイロー、伸びシャープ
シルバーステートが栗東トレセンに帰厩
菜七子9月小倉2歳S参戦決定!
パートナーはフローラルシトラス「小倉合いそう」
夏の小倉で菜七子スマイルが見られるかもしれない。藤田菜七子騎手(20)=美浦・根本、写真=が、9月3日の小倉2歳Sにフローラルシトラス(牝2歳、美浦・武井)で参戦することが決まった。
JRA重賞は16年スプリングS(モウカッテル・9着)、16年目黒記念(サイモントルナーレ・13着)、17年ダイヤモンドS(サイモントルナーレ・14着)に続く4回目の騎乗。20歳を迎えてからは初のJRA重賞挑戦となる。「スタートが速くてセンスがあり、小倉は合いそうですね。スピードを生かせるような競馬をしたいです」と意気込みを語った。
現在、開催中の「ヤングジョッキーズシリーズ」ではJRA東日本で首位に立っており、中央、地方の両方で菜七子から目が離せない。
田辺復帰へ感触OK!
目標は“WASJ”8月26、27日に開催
関東が誇る腕利きジョッキーが帰ってくる。7月1日の福島11Rで落馬して左足関節外果骨折で休養していた田辺裕信騎手(33)=美浦・フリー=が、今週の新潟競馬から戦線に復帰する。
負傷後は約2週間の入院生活を送ったが、復帰に向けての目標をしっかり定めていた。「ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)には乗りたいという気持ちがあって。それをモチベーションにやってきました」。来週26、27日に札幌で開催される世界の名手たちとの対決。それを心待ちに懸命のリハビリに励んだ。
先週、千葉県白井市の競馬学校で騎乗を再開。今週は美浦で15、16日に3鞍ずつ調教をつけた。1カ月半ぶりに競走馬にまたがった田辺は「思ったより大丈夫でした。骨折した箇所の痛みもない。ただ、しばらく動かせなかったので柔軟性はないかな」と冷静に感触を伝えた。
16日の時点で、今週は日曜のみ3鞍に騎乗予定。さすがにいきなり全開モードとはいかないようだが、それでも、今年59勝を挙げ関東3位につけている名手だ。復帰週から存在感をアピールすることを期待したい。(デイリースポーツ・刀根善郎)
大荒れの予感がプンプンする北九州記念
「小倉巧者」を狙い打ち
今週末8月20日に小倉で行なわれるGIII北九州記念(芝1200m)は3歳以上による重賞。ハンデ戦ということもあり、波乱が目立つレースで、2014年には8番人気→13番人気→17番人気の決着で3連単395万3810円という大波乱を記録した。2007年にも3連単150万円超えの大穴が飛び出しており、ひと筋縄ではいかないレースだ。
ただ、過去10年の1番人気馬は1勝、2着2回、3着2回と50%の確率で馬券に絡んでおり、人気馬も完全に無視することはできないので、上位人気が予想される馬から見ていこう。
キングハート(牡4歳/美浦・星野忍厩舎)は前走のGIII函館スプリントS(6月18日・芝1200m)を4番人気で2着に好走しての参戦。今年に入って5戦し、2勝、2着2回、3着1回と安定している。2走前にOP鞍馬S(5月7日/京都・芝1200m)を勝利し、前走では初めて重賞での連対と勢いを感じる。ただ、このレースは前走が札幌・函館だった馬は過去8頭いて、4着が最高という厳しいデータが残っている。涼しい北海道から、暑い小倉への長時間輸送は馬にとってもダメージが大きいのだろう。2011年のテイエムオオタカも、前走の函館スプリントSでタイム差なしのクビ差2着に入ったが、北九州記念では4着に敗れている。
キングハート自身は、小倉は3戦して1勝、2着2回の得意コース。血統も、父オレハマッテルゼはGI高松宮記念の、母の父マイネルラヴはGIスプリンターズSの、いずれもスプリントGIの勝ち馬だ。短距離重賞に相応しい血統馬と言えるが、先に触れたローテーションのジンクスは心配。馬体重や精神状態など、当日の馬の状態はパドックでチェックしたい。
ダイアナヘイロー(牝4歳/栗東・福島信晴厩舎)は500万下特別から3連勝中。前走は同コースの佐世保S(7月30日/小倉・芝1200m)を快勝した。同レースを勝った牝馬は2013年バーバラが3着、2014年のメイショウイザヨイが2着と、北九州記念に関しては縁起のいいデータが残っている。ハンデも53kgと軽いので期待できそうだ。
2015年GIIセントウルSなど重賞2勝のアクティブミノル(牡5歳/栗東・北出成人厩舎)はGIIIアイビスサマーダッシュ(7月30日/新潟・芝1000m)4着からの参戦。前々走のGIII CBC賞(7月2日/中京・芝1200m)も3着と、重賞で続けて好走している。小倉コースは初めてだが、ここ2走の安定ぶりからは軽視できない存在だ。
ファインニードル(牡4歳/栗東・高橋義忠厩舎)は前走の水無月S(6月17日/阪神・芝1200m)を1分07秒1の好タイムで勝利しての参戦。準オープン特別とはいえ、トップハンデの57.5kgを背負って3番手から抜け出した走りは、重賞でも勝ち負けできそうな力強さを感じさせた。小倉は初となるが、父アドマイヤムーンの産駒は小倉芝1200mでは過去約5年でサクラバクシンオー、ダイワメジャーに次ぐ19勝を挙げている得意なコースだ。今回は55kgの斤量で出走できるのも有利。有力馬の1頭として頭に入れておきたい。
ミッキーラブソング(牡6歳/栗東・橋口慎介厩舎)はGIII阪急杯(2月26日/阪神・芝1400m)6着以来約6カ月ぶりの出走。重賞未勝利だが、昨年のGIII京都金杯3着など好走歴がある。小倉では2戦して1勝。1勝は2015年の佐世保S(芝1200m)で、後にGIII京阪杯を勝つネロを差し切って勝利している。敗れたのは同年の北九州記念で、スタートでダッシュがつかず、最後よく追い上げたものの5着に敗れている。小倉はそれ以来の2年ぶりとなるが、最近は以前に比べ、前々で競馬ができるようになっており、激走を期待したい。
ラヴァーズポイント(牝7歳/栗東・高橋康之厩舎)はCBC賞7着からの参戦。7歳と高齢で今年に入ってからも15着、7着といいところがないが、小倉は全4勝中3勝を挙げている得意コースで、2012年のGIII小倉2歳Sでは3着に入っている。年明け4戦目だった昨年はCBC賞2着からの参戦で2番人気11着と敗れたが、今年は年明け3戦目で余力を残しての参戦。CBC賞は7着だが0秒4差で、最後までジワジワと伸びた内容は悪くなかった。昨年のCBC賞ではレッドファルクスの2着、セントウルSではビッグアーサーの3着と、GI馬とも互角の走りを見せており、重賞初制覇を成し遂げたいところだ。
ラインスピリット(牡6歳/栗東・松永昌博厩舎)はアイビスサマーダッシュ6着からの参戦。北九州記念は昨年12着と大きく敗れているが、その後、OPオパールS(京都・芝1200m)、OPルミエールオータムダッシュ(新潟・芝1000m)を勝って本格化を果たしている。兄にGIII新潟大賞典のエアセレソン、伯父に日本ダービー馬ウイニングチケットがいる良血だ。
以上、人気どころと注目の穴馬を列記してみた。筆者は有力馬のなかではダイアナヘイロー、穴馬ではミッキーラブソング、ラヴァーズポイントが特に気になっている。
【北九州記念】3連勝中ダイアナヘイロー 芝単走でラスト11・5秒
「ここにきて脚質に幅が出てきた」
【北九州記念(日曜=20日、小倉芝1200メートル)注目馬16日最終追い切り:小倉競馬場】ダイアナヘイローは芝コースで単走。脚慣らしに半周してから徐々にペースアップ。スピードに乗って直線を向くと、手応え十分にひと伸び。鞍上がムチと声で気合をつけると、シャープに反応して6ハロン76・9―38・1―11・5秒の好時計をマークした。3連勝で一気にオープン入りしたが調子落ちは見られず、待望の重賞制覇へ視界は良好だ。
原田助手「テンから行きっぷりが良かったし、追い出したらビュッと伸びた。いい動きだったね。体調面は万全。とにかく元気だよ。これまでは折り合ってもしまいで甘くなっていたが、前走(佐世保S=1着)はラスト1ハロンでスッと伸びた。ここにきて脚質に幅が出てきたね。重賞でどこまでやれるかだけど、楽しみはある。先生(福島調教師)のためにも何とかタイトルを」
【北九州記念】アクティブミノル 坂路で上々の時計
【北九州記念】エイシンブルズアイ 絶好の動き
脚部不安のアドミラブル来秋復帰が目標
アンビシャスは毎日王冠回避
日本ダービーで1番人気を集め、現在は脚部不安で休養中のアドミラブル(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎)が来年秋の復帰を目標に調整されることが16日、分かった。同馬は日本ダービーで3着に敗れた後、当初は神戸新聞杯・G2(9月24日、阪神)から菊花賞・G1(10月22日、京都)へ向かう予定だったが、放牧先の北海道・ノーザンファームで脚部不安を発症したことが今月初旬に判明していた。「牧場で馬を見てきましたが、来年秋の復帰を目指していこうということだけは決まりました」と音無調教師は現状を説明した。
また、秋は毎日王冠・G2(10月8日、東京)での始動を予定していた同厩のアンビシャス(牡5歳)は同レースを回避することになった。音無調教師は「放牧先での体調がよくない。どこを使うか決められないし、毎日王冠はありません」と明言。同馬はこの秋、毎日王冠から天皇賞・秋・G1(10月29日、東京)へ向かうローテーションを予定していた。
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19年廃止が決まった降級制度 そのメリット、デメリットは?
2年後の19年夏から適用
夏番組で4歳馬の収得賞金が半分となる「降級制度」が、来年を最後に廃止されることが決定。現2歳馬が4歳となる2年後の19年夏から適用されることになる。
降級制度を廃止する理由は何か-。JRAは、クラス内の実力不均衡、高条件馬が大幅に減少して高条件戦を多く編成できないことを問題点に挙げている。ただ、制度廃止によるメリット、デメリットも生じる。現場で指揮を執る調教師に取材した。
今年のクラス編成でオープンから準オープンに降級し、6月の阪神開催ですぐに結果を残したファインニードル。管理する高橋忠師はこう話す。「降級が廃止されると、厩舎の勝ち鞍は減る。特に個人の馬主さんにとっては厳しくなるでしょう。それをアテにしている馬もいるから。白黒はっきりするという半面、牧場にとっても痛手。特に牝馬の場合だと、血統表に残る勝ち数がひとつ減るだけで随分印象が違う」。オーナー、調教師、生産牧場の視点からはデメリットの方が多いというわけだ。しかし、「ファンにとっては分かりやすい」と、ファン目線でいえば、メリットもあるようだ。
梅田師の説明も興味深い。「降級の時期に合わせて、使うレースを選択するのではなく、馬の状態に合わせてレースを選択することができる」。これは馬にとってのメリットだ。放牧に出したくても、“降級だから”と使うこともある。降級初戦で勝てばいいが、降級馬は1頭だけではない。「オーナーを損した気分にはさせたくないからね」と話すように、惜敗が続けば、もう1戦、もう1戦と使うことにもなる。降級によって、休ませる時期が先延ばしになりかねない。
収得賞金が半額になることで、レースに出られないことも起こる。「ショウナンマイティは12年の安田記念を除外になった。降級制度がなかったら、出走できたのに…」。クラス再編成直前に大阪杯(当時はG2)を勝ったが、再編成で収得賞金は半額に。収得賞金の順位で補欠の1番手となってG1出走がかなわなかった。
木原師の見解も的を射ている。「時期があるからね。“まだ”って時期に、強い馬と戦って自信を失うこともある」。テイエムジンソクは今年、準オープンの東大路Sを快勝後、大沼S、マリーンSと3連勝。4歳だった昨年5月に準オープンを勝ったが、クラス再編成で降級して再び準オープン馬に。そのあとは2着3回、3着3回と惜敗が続き、8戦かかってようやく準オープンを卒業した。「何かふっきれたように、強くなった。準オープンでもまれて、なかなか勝てなかったことも、今につながっているのかも」。降級がなかったら、今の活躍はなかったかもしれない。
多くの調教師が口にしたのが次の3つの言葉だ。「新しくするということは、不満も出る。でも、すぐに慣れる」。思えば、87年までは4歳夏季、5歳夏季の2回にわたって降級制度の変更があった。30年たった今、“そんなこともあったな…”と振り返り、現ルールのもと、円滑に行われている。また、「みんな同じルールだから」というのも納得。全馬、全厩舎、同じルールの下で行われるのだから不均衡はない。
「若いうちに勝って、早めに賞金を加算すると、あとで苦しくなる」。これは大きなデメリットではないか。馬はデビューすると、まずはクラシック出走を目標にするもの。例えば、2歳の時に少頭数のオープンを勝ち、賞金加算すると、先になってから、鳴かず飛ばずで苦労することもありそうだ。適用開始の19年夏番組以降、どういった問題点が浮き彫りになるのか。オープン、準オープンといった上のクラスの頭数が増えすぎた場合、使いたいレースに使えない馬が頻発するかもしれない。そういった時に、JRAがどう対処するのか。興味深い。(デイリースポーツ・井上達也)
ディサイファ仕上がり自信、洋芝巧者逆襲/札幌記念
【夏競馬トリビア~ン】夏後半戦に“即使えるデータ”をご紹介!
“即使えるデータ”を駆使して、秋のG1へ
いよいよ夏競馬も佳境に入ってきた。札幌、新潟、小倉の3場開催はちょうど半分を消化し、残るは3週のみ。秋からのG1戦線で勝ち組になるためには、この期間の収支が鍵になる!?今回は過去10年(芝レース)の夏の後半戦を中心に分析。ラスト3週で“即使えるデータ”を紹介する。
【札幌】
(1)種牡馬 前後半共に勝利数1位は、ディープインパクト産駒。安定して結果を残すあたりはさすがのトップサイヤーだが、後半戦で積極的に狙いたいのがスペシャルウィーク産駒だ。過去10年の1回開催では8勝とディープ(29勝)に大きく水をあけられたが、2回開催では18勝(ディープ20勝)と急接近。産駒には道悪で好成績を残すパワータイプが多数。12日の札幌開催日では大雨が降った。例年以上に荒れた洋芝で、さらなる活躍の予感が漂う。
(2)調教師 前後半合わせてのトップは藤沢和師。昨年もソウルスターリング、サトノアレスといったG1馬が札幌でデビューした。後半戦に限れば、矢作師が勝ち星を量産。まくりがサク裂するラスト3週は見逃せない。
【新潟】
(1)種牡馬 後半戦で急浮上しているのが、フジキセキ産駒。前半で7勝だったのが、一気に18勝を荒稼ぎしている。勝率、連対率ともに優秀で出走してくれば、まずは押さえておきたい。
(2)馬体重 北海道とは違って8月下旬もまだまだ暑い。コンディション維持の難しさは続き、前半開催では20キロ増で出てきた馬は【4・2・5・52】だったが、次開催で【6・5・7・62】と成績を上げてきている。暑い時季の馬体増は元気の証明。20キロ増となると一見手を出しづらいが、夏後半の新潟では買い要素となる。
【小倉】
(1)騎手 前後半通じてトップのV数を誇る武豊が、後半戦ではさらに他を圧倒。3着内率は驚異の49.1%で、ほぼ半数の馬を馬券圏内に持ってきている。そんな中で注目は北村友。前半戦はわずか4勝ながら、後半戦では14勝をマークしている。尻上がりに調子を上げるタイプでここからが買い時だ。